産業用テントの技術を起点に、未来を包みこむ“膜”の可能性を広げる

山口産業

山口産業は、テント倉庫を中心とした膜構造建築の設計・施工を手がける専門企業です。膜素材の特性と専門技術を活かし、「膜構造建築で社会の課題に何ができるか」という問いから生まれたのが、同社のビジョン「WRAP THE FUTURE(ラップ・ザ・フューチャー)」。このビジョンの実現に向けて立ち上げられた社内プロジェクト「MEMBRANE LAB(メンブレインラボ)」では、農業、産業、防災、都市空間などをテーマに、異業種との協業や実験的プロジェクトを推進。人や社会、環境と膜をつなぎ、まだ見ぬ可能性をかたちにしていく場として活動しています。

Team
Creative & art direction
先崎 哲進
Design
宮本 理希
青井 良恵
Web development
阿比留 浩太
Advisory partner
永田 宙郷(TIMELESS LLC.) / 田崎 佑樹(KANDO) / 塩浦 政也(SCAPE) / 豊永 翔平 (CURTIVERA)
Photo
藤本 幸一郎 / 大塚 紘雅
Writing
廣川 淳哉 / 黒岩 聡
illustration
座二郎
Art work
HIBIGEI
Website
https://membry.jp/

BACKGROUND

人材不足という企業課題の本質を考える

山口産業は、テント倉庫を中心とした膜構造建築の設計・施工を手がける専門企業です。高度な膜構造設計の技術を有する一方、地方拠点で大手ゼネコンの下請け業務を行うイメージから、特に若手人材の採用に課題を抱えていました。当初の相談は、人材不足という地方の中小企業に共通する課題。しかしリサーチを進める中で浮かび上がってきたのは、膜構造建築がまだ取り組んでいない未開拓の領域と魅力です。単に既存業務の範囲で技術を高めるだけではなく、企業が掲げるビジョンを軸に、潜在的なニーズや社会課題に未来志向で取り組むことが、膜構造の新たな可能性と市場の開拓につながり、リーディングカンパニーとして人材獲得に寄与することを目指しました。

APPROACH

膜構造で、新たな未来をつくる

山口産業は、膜構造建築という専門性をどの領域に拡張するのか。Timeless.incの永田宙郷氏を中心に先端農業や建築分野の専門家とともに各分野の課題に対して、膜構造に何ができるのかという問いを立てるワークショップを重ね、膜構造建築が次の時代に果たせる可能性について議論を深めました。そうした対話の積み重ねから生まれたのが、「WRAP THE FUTURE」というビジョンです。

VISION

WRAP THE FUTUREー膜で未来を包み、 地域を守り、人々と共に進んでいく。

「WRAP THE FUTURE」をビジョンに掲げ、膜構造の6つの特性から新たなアイデアを抽出。次々と社会課題が生まれてくるこの時代、ひとつでも世の中の課題に向き合いながら未来をより良くしていくために、志を共にできるパートナーと一緒に乗り越えていくための社内横断型の取り組み「MEMBRANE LAB」を立ち上げました。

農業・都市・災害・・・といった社会課題に対し、従来の枠にとらわれない発想で挑戦することを目的とした「MEMBRANE LAB」は、新技術や異分野との連携、そしてクリエイターとの協働を柱としています。テツシンは、各プロジェクトに最適なチームを編成し、ワークショップの成果をタブロイドにまとめるほか、異分野協業の試作・実装に伴走。時には発注者としても関わりながら、多角的にプロジェクトを推進しています。

OUTPUT

Model Case1: TETUSIN DESIGN RE-USE OFFICE

採光性が高く軽い、というメリットを活かし、オフィスの天井に膜素材を採用。また、オフィス横に「TETUSIN DESIGN OPEN STUDIO」として新たに半屋外で可動式の膜構造によるオープンスペースを増築しました。普段は収納しておき、イベント等使用時に生まれる空間を膜構造建築で実現しています。

Model Case2: HütTENT ヒュッテント

大学研究室、林業事業者、建設会社、設計事務所等と協業したコンソーシアム事業。登山の避難小屋や森林整備の拠点として設計された山小屋「ヒュッテント」は、膜構造による機能性と意匠性の実現と、地産材を活用し環境に配慮した木の循環によるサスティナブルな小屋を実現しました。山小屋以外にもアイデア次第で様々な活用ができるプロダクトとして、学生とワークショップを開催し様々なアイデアを集めました。

Model Case3: アート倉庫

グラフィックやアートで彩ることができる膜の特性を活かして、生まれたアート倉庫。障害のあるアーティストによって描かれています。

座二郎氏とのコラボによるビジョンアート

膜構造のある未来の風景を描くビジョンアートを、イラストレーター座二郎氏を起用して制作。展示会の壁面やカタログ誌面で使用されています。

1年に1回のペースで社会課題や産業分野を設定し、外部クリエイターとの連携を通じてこれからの膜構造の可能性や価値創造へ取り組んでいます。その内容を、タブロイドとして外部へ発信しています。

No.1 世界の農業を救え
No.2 都市を、膜がどう変えられるか?
No.3 今、掲げる、山口産業のパーパスとは?
No.4 膜で考える畜産の未来